RITORNELLO FILMS LLC.
私たち「リトルネロ フィルムズ」は、2018年より全国の職人や生産者のドキュメンタリーを制作し、NHKワールド、海外放送局、映画祭などを通じて、160カ国以上に日本の手仕事の物語を届けてきました。映像の新しい在り方、ドキュメンタリーの可能性を最大化する試みを続けています。
Our Mission
−日本の原風景を、100年先へ−
古来、人は森羅万象を読み解き、そこから幸をとり出してきた。森羅万象に近づき、自分の命と対等の場所で動物や木や菌と出会い、生かしたり生かされたり、殺したり殺されたりしながら、手を動かして自然を変化させ、多くのモノを生み出してきた。こうした森羅万象と人との「あわい」の場所に近づいていく人を、職人と呼びたい。
さまざまな職人の体はモノを作りながら限りなく道具に近づいていく。
炭焼きの鼻、蒅職人の皮膚、和紙職人の手、黒酢職人の目は、それぞれの器官がモノの製造過程の対象の変化に応じて独自に発達しており、人と自然がこのように関係を結んだことの知恵の証明でもある。この職人の身体の在り方は言語によらない実践で受け継がれてきた。雪国の木が雪の重みで枝を落とし幹を変形させるのと同じように、職人の体は自然に制御されながら変形することで、「それ以外の在りようができなくなる」という形の身体を持つ。この身体の継承は歴史的なものであり、数百年(あるいはもっと)の時間軸を持つ。
今、あらゆるジャンルの伝統的な産業が痩せ細り、こうした言語化できない継承はほとんど絶滅の危機に瀕している。今、職人の在り方を映像にして取り出すことはこれまで語りようがなかった職人から職人への継承を未来に向かって外在化させることである。一個の職人の身体から歴史を遡り、何千何万という無名の職人の生の気配にまで辿り着くことはできないだろうか?一個の職人の身体が自然と関係し、どんなふうにその「あわい」の場所に立っているか、自分もそこに立ってみることはできないだろうか?
映像制作者は、森羅万象に近づいてモノを生み出す職人の後ろについていって、無数の映像を生み出す。それは人と自然の関係の結晶であり記録である。これらが集まってアーカイブとなった時、インターネット空間に「日本」という場所が立ち現れるだろう。無心に働く職人の魂によって。この試みは、先人の知恵を未来の人に向けて開くことを目的とする。